(交渉の出来る相手ではない)[自身の不注意さへの激昂はひとまず心の隅に追いやり、考える](前回は奇襲を受けた。今は、攻撃される前に仕掛ける!)[その『前回』は蜂蝶に演出されたものとは、未だ知らない][投擲したナイフは右腕に弾かれた][ついでのように放たれた黒針を、相手がしたように腕で受けながら、階段を駆け下りる。濃紺のコートは衝撃を受けて硬化し、針を通さない][肉薄しながら右腕を振る。ナイフに繋がれたワイヤーが、蛇のようにライヒアルトへ襲い掛かる]