(……───出るな!!)[そう願ったけれど、時既に遅し。最初から相手を危険と定めていたのもあり、想うだけで行使されるそれは自衛本能として現れた。自分の背後を飛び越えて現れる、黒紅色の獣───狼。黒紅狼はそのまま春へと襲いかかる。誰かが庇いでもするならそれを四肢で蹴飛ばして。体勢を整えると逃げる春へと追い縋り。そのまま襲いかかって喉元を───食い千切った]