黒檀で蔦の模様ね。確かに承りました。
[三倍まで出せる、とのゲルダの言葉には頷いて。けれど。
相手が金勘定に疎いからと言って、吹っかけるような真似はしない。
それが女なりの誇りだったから]
カーラーさんが品物を見て、納得できると思ってくれたなら
次の取引からはもう少し色をつけてもらう心算だから、今回はこの値段で大丈夫。
それと、他にも御入用のものがあったら、遠慮なくどうぞ。
[その時、ごうと風が強く吹き>>0:#5女の言葉尻を遮る]
風が随分、強くなってきたみたいだ。
嵐になるのかな? ……まいったな。
女将さーん。窓、閉めちゃうよ。
[開いていた窓を閉めようと立ち上がれば、宿へと向かって来る幾つかの人影を目にするだろう]