─中央エリア・高層ビル屋上─
[朔故に星明かりばかりの夜空。影を作り出す光量はそれ程無いにも関わらず、ゆらりと影はオクタヴィアの足元で揺らめいた。漆黒に紛れたそれは頭を擡げ、ヒトを形作る]
数も多いですし消耗も激しいのですけれど……やってみる価値はありますわね。
どのくらいの方がかかって下さるかしら。
[持ち上がった影はそれぞれ、オクタヴィア以外の『遊戯』参加者の姿へと変わる。姿形は本物のそれと寸分違わず。けれどその実力は遥かに劣る。模倣が故の欠点]
見間違えてくれるだけで……。
『遊戯』開始の号……楔となるだけで十分ですわ。
[すっと右手を前へと翳す。その右手を横へ払い、影達へ開始の合図を出した。夜闇にシャラリとブレスレットの音が響く。参加者の姿を模した影達は方々へ散り、ターゲットを探し始めた]