[廊下を先に歩いていたのは自分の方だったが、
広間に先に踏み入ったのはアレクセイの方。
扉の手前で、ふと足を止めてしまったからだったが
結局は何事も無かったかのように顔を見せるのだった。]
やぁ、アリョールに、ヴィクトールさん、
それにフィグネリアさん。
……って、あれ。イヴァンは居ないのか。
[温かなスープやパン、焼けた魚やチーズの香りはあれど
それを作ってくれただろう人の不在に瞬きつつ。
アレクセイへと向き合うヴィクトールの体調を
敏く察することはできないまま、
先程ふと気に掛かった人の方へ視線は向く。]
フィグネリアさん――、
少しだけれど、顔色が良くなった気がする。
[気のせいだったかもしれないが、それでも安堵を見せた。]