[そんな会話をしている間にも客室へと辿り着き、空いている手で扉を開けた。
休むならベッドが良いかと、イレーネを座らせるために手を貸して、離そうとした時に訊ねかけられる>>5]
ん?
…あぁ、大したことは無い。
[案ずる声に小さく笑みかけて、右手でイレーネの頭を撫でた。
イレーネの手の中にある左手には、擦り傷と共に赤い点のようなものがいくつか]
後で探してみる。
──ゆっくりお休み。
[おまじないに頬を緩めて、手が離れたところで娘の頭に口付けを落とした。
布団を引き上げるのを見届けてから、ベッドを離れ暖炉の前にしゃがみ込む。
昨日使われなかったために火種は当の昔に消えていて、改めて火を熾し薪をくべた。
しばらく燃えるであろう量を入れ、一度イレーネへと振り返ってから部屋を出る]