─ 広間 ─[伸びて花咲く蔓薔薇は、今は視覚でも捉えうるか。>>5いや、それ以前に。それと知った事で──凪いでいた銀の獣が、ざわめき、確証を青年に与えていて]……は。できの悪い、冗談っ……。[低く吐き捨てた後、額から手を離す。翠の感情は──また、薄れていた]でも、だからって。……お前が、手を汚す理由には、なんない、だろ。[紡いだ言葉は多分、青年としての精一杯の抵抗。もっとも、その限界も──遠くない、という認識も、どこかにはあった]