[叫んだ、自覚はなかった。だた舌に感じる、血の味が現実の全てだった。兄が何を思い、何を案じて凶行に及んだか。そんなことを考え思いやる余裕もなかった。ボクは恋人を殺した鋏と小袋を手に、夜道を駆け出す。背後から何か声が掛かろうと追われようと、知ったことではなかった]