……もーしわけありませんけど。
[耳元、落とす囁きはどこか楽しげな響きを帯びる]
『俺たち』が生き延びるための、犠牲になっていただきます。
[一方的な宣告は何を思わせるか。
それを確かめる余裕もないし、そんなつもりもないから、空いている方の手で、素早く隠し持っていたナイフを取り出す。
その動作の僅かな隙を突くように、オードリーを捕らえていた方の腕に僅かな熱が走った。
熱の源は、護身のためにと持っていたらしき、針。>>2:147
それがもたらす痛みに顔をしかめつつ、抜き放った刃を豊かな胸へと突き立てる。
紅い色が花弁を開く。
一撃で命を奪いきるほどの威力はないから、より深く、刃を押し込みながら十字を切るように動かして。
抵抗がなくなった時には、客間の床はあふれたいろで染め上げられていた]