……は。
[突き刺した刃を返し、下がりつつ、引く。
溢れる色が周囲を染め──記憶を呼び起こし、眩暈を呼んだ]
……人の……他人の、願いとか、そういうモノ。
引き継ぐ余裕は……俺にゃ、ない、けど。
[それは一度やって、でも、できなかったこと。
悪友の、最期の願いを叶える事はできなかった、自分]
少なくとも……生きてる、以上、俺は。
……やるべき事を、やる。
……終わらせるさ……絶対、に。
[決意をこめた呟き。
それに答えはあるや否や。
あったとしても、それを聞き取る余裕はなく。
裕樹が崩れ落ちるのと前後するように、その場に座り込んだ]