[狼だと言われた彼女はどんな反応を返しただろうか。数度のやりとり、と言えたかも怪しい応酬の後、やがて部屋を飛び出して行った。とは言え、足を引きずっている彼女に追い付くのは容易い。階段に差し掛かったところで追いつくと、尚も逃げようとした春枝は足を滑らせる。――それだけなら、軽い“事故”で済んだかも知れなかった]