[言ったきり、言葉が続かない。足元にやって来た猫の声が遠い。自覚はないが、多分、泣きそうな顔になっていたのだろう。不意に、温かい感触が包み込むように、触れてきて]……姉さん。俺……。[振り返った先にあった姉の表情も、上手く捉えられない。けれど、鎮めようと、なだめようとしてくれている事、それはわかって、だから。常であれば、子供じゃない、とでも言って退けそうな、撫でる手も受け入れて。──その場で、すぐに弾け飛ぶのだけは、留まれた]