― →路地 ―[ユーディットは詳しく場所を話したか、ひょっとしたらそんな余裕も無かったかもしれないが。とにかく子供は駆け出して、あたりをきょろきょろ見て回った。あとからロミがついてくるのは気づいていたが、子供は来るなとも来いとも言わなかった。おそらくそんなには走らずに、塀だか家だかの合間にある細い路地の奥から、黒珊瑚亭で嗅ぎまくった匂いに気づいて、ぴたりと足が止まった。]…………。[日は昇っているのに薄暗くみえるのは、安定しない天候のせいだろうかと子供は思った。]