入るよー?[声をかけながら両開きの扉の片方を開け、中へと身体を滑り込ませる。入ってすぐの脱衣所に人の気配は無い。やっぱりもう出たのかな、と思ったところで、大浴場へと続く扉の前に鮮烈ないろが落ちているのが目に入った]…………───── !![僕の顔から表情が消える。今までにも何度か見た、鮮やかながら深みのある真紅のいろ。アナスタシアやリディアの時とは違い、ひとひらだけであったけれど、嫌な予感を呼び起こすには十分なものだった。僕は躊躇いなく目の前の扉を開ける]