[淡々と紡ぎつつ、外套の下から取り出すのは、先の銀十字。
かちり、と言う小さな音と共に、不自然な継ぎ目から鞘が払われ、銀の十字架は本来の姿──それを模した短剣へと形を変える]
……お前が闇の眷属であるならば、この刃は裁きのものとなる。
例え、異なったとしても、先を憂える事はない。
光の加護を受けし者であれば、等しく、神の許に導かれる。
[紡ぐ言葉は、一方的な理屈。
けれど、それを口にする事に違和を感じる事はなく。
恐慌を滲ませ後退りするウェンデルの肩を左手で掴むと、躊躇う事無く、右手の刃をその胸に突き立てた]