[悲鳴が上がったかは分からない。
自分の耳に届いたのは、grungeの頭を殴った時の鈍い、音。
渾身の力を込めた一撃は彼の頭部に深い傷を負わせ、残る勢いのまま床落ち、火掻き棒が突き刺さった。
ゆっくりとした動きでgrungeの身体が床へと落ちて行く。
床に倒れた彼はピクリとも動かなかった]
──────っ 、 ハ、ァ 。
はあ ……… っ、は、ぁ。
[鼓動が早くなるのを感じる。
如何に覚悟をしていたとしても、人を殺すことに慣れているなんてことはなく。
追い詰めていた側なのに、とかく必死でことを為そうとしていた。
火掻き棒を握っていた右手が、床にぶつかった時の衝撃と自分が手にかけたという事実に刹那、震える]
[時間にして1分にも満たない攻防。
額から、全身から汗が噴出し、顔を伝って落ちる汗に混じり、唇の端も切れていたのであろう、赤いものが床へと落ちた]