[咄嗟に避けようとしたが、後ろにはシスターがいるのを思い出す。
荒事に慣れない身では彼女を守りつつ避けるなど出来る筈はなく、
指一本分程しか身をずらす事しか出来なかった。
胸部に吸い込まれるように短剣が突き刺さる。]
…、…っぁ…
[冷感の後に、灼熱と痛みが襲う。
引き抜かれれば鮮やかな赤が廊下を染めあげ、口の中に鉄の味が広がった。
意識を手放しそうになるのを奥歯を噛み締める事で堪え、ナイフで左下から斜め上に向かって振り回す。
ろくに力の入っていない所為で手傷を負わせるには至らなかったかもしれないが、
何とか少しでもシスターから離そうと。]