― 黒珊瑚亭/食堂 ―
あれ、あの人……。
[食堂に向かう途中、見覚えのある気がする男性 >>1:124の
後ろ姿をちらりと見かけた。
宿を出るらしい様に、狭い島のことだから
いずれ話せる機会もあるかと、名を呼びかけた唇を噤む]
さっき挨拶してくれた時、もしかしてとは思ったけれど、
ユーディットだね?
驚いたな、12年前はあんなに小っちゃかったのに。
もうすっかりお嬢さんだ。
何もかも変わらないような気がしていたけれど、
この島にも、月日はちゃんと流れてるんだね。
[黒珊瑚亭の娘として、少女の印象と名は記憶に残っていた。
ユーディットが覚えてくれているかは、分からないものの、
懐かし気に声を掛けて名乗った]