―休憩所エリア―
[よろよろ、ふらりと小屋の中に入ると先客が。何かいびきかいて寝ていたり。
ようやく別の受験者に出会えた安堵でほっとしたのもつかの間、その余りに安らかな寝顔にちょっとむかっとした。
うるうる唸り、鼻先でつつくも起きる気配がない。
それを確認してから、ぅると短い詠唱を。]
『 クロキジュウボク キタレワガモト 』
[黒い文字が空間を裂き、隙間からぽとりと何かが落ちてきた。
上位古代語まで使って呼び出したのは、黒いマジック(油性)。
それをくわえて、ユリアンの額に器用にきゅっきゅっと『へいぼん』と書いた。
主人の導師なら「ここは『肉』でしょ」と突っ込むんだろうが、狼の脳内では肉=食い物認識なのでなんとなく止めた。
書き終えたらいくらか満足したため精神が回復した。竜の反応いかがなものか。
それからユリアンに食べられていない食べ物で、食べられる物は容赦なく食い潰した。
追加がなければ残ったのは、甘かったり辛かったり極端なものばかり。
けふんと満腹になると、床に伏せて少しだけ睡眠を取った。起きれば脳へのダメージは、少しは改善されるだろうか。]