[奏者が完全に息を止めた頃、ゆっくりと身を起こす。
血濡れの手と剃刀はひとまず毛布で拭った。
それからもう一度遺体を見下ろした時に、何かがはらりと落ちた]
……ああ、これか。
[落ちたのはあの四葉の栞。部屋を出るときにそのまま持ってきてしまったらしい。
すぐに拾い上げたが、既に角に血が染み込んでおり、眉を顰めた]
まあ、見られなければいいか。
[捨てようかとも考えたが、後で誰かに発見されては困る。騒動が落ち着いた後に処分しようと、剃刀と一緒にポケットに突っ込んだ。
そうして人の気配に注意を払いつつ、部屋を出て行く**]