(……これ以上、は)
[目をそらしてはいけない、と。
そう、思った。
過去に居合わせた閉ざされた空間であった事、その全ては思い出せない。
だから──この哀しみの影にあるものは知らないまま。
ただ、終わりにしなくては、という願いからそう、思い定めて]
……アーベル。
[月のいとし子に眠りもたらした者へ、呼びかける]
……ここじゃ、寒いから。
彼女も、部屋に。
……エーリさんも、そのままには、できない、し。
[ちゃんと、ねむらせよう、と、提案して。
亡骸を部屋へと安置した後は、いつものようにお茶を淹れたり、聖堂の掃除をしたりと忙しく動き回って、その日を過ごした。**]