[遠く、叫び声が夜空に響く。赤く染まる月は欠け始めていた。夜に出歩くのは危険だ。分かっていても足は止まらない。頭痛を感じながらも駆けてゆけばカチューシャは別れた時と同じ場所に居ただろうか。先ずは彼女へと歩み寄る]……、カチューシャ。今日は、帰った方が……[言い掛けて彼女の視線の先を追えばただならぬ空気の中に三つの人影が見えた]