―ギュンターの屋敷・広間―
[ふと顔をあげると残っていたお茶は冷めてしまっていた。
本を読んでいる時はそうでもないのに、いざ楽譜に向かうと周りが見えなくなるのは仕事故だろうか。
ぱさりと楽譜を脇に置いて、ほ、と一息ついた]
あぁ、駄目ですね、他所様の家でこんな事をしていては。
[もしかしたら誰かが様子を見たかもしれない。失礼な事になっていないといいのだけどと思いながら、残っていたお茶を飲み干した。
窓の外ではなにやら話す声が聞こえる。>>14>>15
はっきりとは聞き取れないが、自分以外にも人が居るとなれば非礼は避けなければいけない。
必要以上に評価を気にするのは仕事柄ではなく、やたらと息子を抑えようとする親の顔色を伺っていた名残だ。
それが他所からの客人ではなく、古い馴染みの声と気付けばそこまで緊張する必要も無いけれど]
どちらにしても、何してたんだとは言われそうですね。
[ふと口元を緩めて、これからあるだろう再会の時を思う。
親との再会が過ぎれば、やはり眉を寄せてしまうのだけど。]