こ、こんにちは、イザード、さん。お父様に、ご用事、ですか?[見知った顔の割に向ける声はどこか硬い。緊張しているのもあるが、ヘンリエッタはこの赤髪の男性──ラッセルのことを少しばかり苦手に思っていた。自分の家なのに家主のように振舞うのもあまり快く思っていない。「この屋敷の主は父なのに」と、そんな風に思うためだ]