[直に手に掛けずとも結局、自分に対して「人殺し」の意識は抱かれる。
ジラントとサーシャが争うを止めることもなく、そして今、倒れているジラントを助け起こすことだってしなかったのだから。
そして「殺した」という意識は、『鬼』に殺された他の者たちに対してもおなじこと。]
こんなあたしでも、まだ、人に戻れる?
ううん。戻らなきゃ。
あたしは、「あたし」で、いなきゃ――…。
[ぽつり零してから、「仲間」へとコエを向ける。]
アレーナ。
今、エントランスで――サーシャさんが死んだ。ジラントさんに、殺された。
ジラントさんも、多分もう、長くないと思う。
[血だまりを踏みつけている脚はそのままに。
メーフィエはふたりの男を見下ろしたまま、その場に佇んだ。
キリルの許へ向かっていたアレーナが、無事であれば、と。
そのコエや足音が聞こえてくれば、と祈りながら。**]