時刻は少し現在に近付く。
精霊界、雷撃王の居住地では、常と変わらず乾いた風が岩肌のおもてを吹き抜けていた。
「ぬいぐるみなんか送って来るなって何度言えば判ンの?!
キモイっつってんじゃん!ていうかウザイし!
ていうか何でペンギンのくせに赤?!」
矢継ぎ早に罵声を浴びせられても、雷撃王は巌のように佇むばかりである。
そんな様子が益々腹立たしくて、
更に激昂して続ける。
「お母さまもお母さまよ、いつもヘラヘラして何の役にも立ちゃしないんだから、マジウザイし!馬鹿みたいだし!」
リディの矛先が余所へ向いたことを咎める為、雷撃王はリディの肩へ手を置いた。言葉を発する前に、諌めるような視線を送る。厳然とした顔付きは「裁定者」たる雷撃王に相応しく、有無を言わさぬ様相で厳しい。
しかし、リディは肩に置かれた雷撃王の分厚い手を払い除け
「触んなって言ってるでしょ!
オヤジ臭い!あたしまでオヤジ臭くなるし!ていうかキモイし!」