ええい! この化け物〜!
[思わず本音を漏らして、あまつさえズビシ! マテウスを指差して限定してしまったが、まさか二重召喚もあっさりと(と、ゼルは思っている)迎撃されては言いたくもなる。
目付きの悪い三白眼を更に鋭くし、次の手を考えるが――]
手も何も……後は接近戦くらいしかないか?
[今は距離を保っていて、マテウスも迎撃に付き合ってくれているから何とか対等に遣り合っているように見えるが、近接されれば一瞬で組み伏されているだろう。
だが、遠距離から分かりきった攻撃では届かない。
――ゼルはしばし考えて、ライヒアルト戦でやったような接近戦を心に決めた]
……これで勝てなくて二ヶ月寝てましたってなったら、さすがに目も当てられないけど、背に腹は変えられない、か。
[マテウスの目を一度じっと見つめてから、胸に溜まった空気を全て吐き出す。そして新鮮な空気を胸一杯に吸い込むと、一息に詠唱を開始した]