リディは、褐色の長い──母親/翠樹王によく似た──髪の根元を掴み人間界へ遊びに行くようになってから護身用にと──父親/雷撃王に渡された──持ち歩いていた精霊鋼の小ぶりなナイフで切り落とし、「もうこんな家、出てってやるっ!! ××××くそじじーっ」雷撃王の反論の余地も無いまま、精霊界を飛び出した。要するに、唯の反抗期だった。余人に雷撃王の胸中に去来する思いを計ることは出来ない。昔はあんなじゃなかったのに、というような内容の呟きが、吹きすさぶ風の切れ間に聞こえた気がした。