─ 宿・一階入り口付近 ─
[イレーネやフォルカーの事も気がかりだったが、友人を押さえる方に手が行った。男手でなければ止まらないだろう、というのもある。
ふいに、フォルカーが囁く言葉>>17が見えて瞬いた。
しろ、の意味は、御伽噺に明るくない..には把握できないが、再び見た夜の闇の瞳に、またか、という思いは生まれる。
死の色、そんな言葉が脳裏を過ぎった。
オトフリートが落ち着くまではそのままで。
ヘルムートへ向かわぬ兆候が見られれば、ようやく手は離した。
友人がエルザの方へ行くようなら、止めはしない。
ゲルダに呼ばれた薬師は治療をしただろうか。そも薬師は近くにいたかどうか。
血塗れたエリザベータを運ぶなら手は貸すつもりだが、不要なようであれば、溜息つくに留めた。]