―集会場・広間―
[無機質な機械音声は、目の前の人の名を呼ばない。その事が、自分でも驚くくらいに痛かった。
主の声は聞こえたが、逸れに応える事はできず。
次に届いた『無理』という言葉には、びくりと身体が震えた。
促すような言葉にようやくのろのろと立ち上がり、まだ温かな同僚の身体を正面から抱えるように肩に乗せる。上手く抱えることが出来ず足はひきずってしまったが。
広間に残った人らに何を言う事も出来なかった。
空き部屋に運ぶと、寝台に横たえる。主の手伝いは拒んだが、頑として受け入れられなかった。
シーツを胸までかけ、傷口は隠す。
それで、出来ることは、おしまい。]
……………さっきまで、生きてたのに。
[寝台の隣に立ち、二人でジョエルを見ていた。
自分の服は血で染まったままだったが、拭うこともしなかった。]