[手を差し出した方と、差し出された方の間でしばし起きる睨みの攻防戦。
勝ったのは、冷ややかさを失しない天鵞絨の方。
受け取った書簡、そこに刻まれた紋章に軽く礼をしてから封を解き]
…………………………。
[流麗な書体で綴られるその内容に、天鵞絨が険しさを増した。
そこに記されていたのは、この村に『神に仇なす闇の眷属』──人狼が潜んでいる、という可能性の示唆。
それと共に、『力ある者』も、神により下されているはず、とも記されていて]
……団長殿は。
『幻燈歌』の再現を、お望みである、と……?
[読みきった書簡をまた封筒に戻しつつ。
投げかけるのは、短い問い]