[ヒューバートが去った後、] ニーナ。[一度目は名前を呟くように呼ばわる。オードリーがその後ろには居ただろうか。] 人狼なら、紅茶を出すんじゃなかったかな。[どちらにせよ背を向けた侭、ニーナに屈み込む。] まるで眠っているようだ。[注がれる黒曜石の眸は陶然と薄赤い色に染まる。男はニーナの頸元から溢れる血に手を伸ばした。熱い。その手を緩く握って、顎辺りに寄せた。男の背に隠れて、男の仕草はそう見えただろう。]