< ぽかぽかお陽さまにあたためられた土の上、気持ちよさそうに猫が眠っていました。本当は猫とも少しちがう生き物のようですけれど、羽根があるほかは猫そのものなので、そう呼んでしまいましょう。みじかい毛並みに、細くながいしっぽ。太陽のようなこがね色がに混じっていて、この猫は美人――いいえ、美猫だと人が見れば思うでしょう。
だけれどここには人はいません。本当のはなし猫は“獣人”なので、一番それに近いのは気持ちよさそうに羽根を折りたたむこの猫なのです。
さわやかな風が吹くと、樹の上でうたっていた小鳥たちが猫のそばに下りました。えさを求めているのでしょうか。つくつくつん、つくつんつん。ついばむ音に白い耳がふるえ、やがてお空よりももっとまっさおな――それは深い水の色といえるかもしれません――目が、まばたきのあとにあらわれました。
猫が目を開けても、小鳥はどこへも行きません。猫も彼らをちょっと見ただけ、その後は樹の葉の向こう側をぼんやり眺めました。
猫はなんにもせずに、また頭を手の上におとしました。水の青はまた見えなくなって、つくつくつん、小鳥の土をついばむ音もやがて聴こえなくなりました。>