─ 回想・広間にて ─
[楽譜を脇に置いた>>0:20男から声をかけられ、
「覚えてないかもしれないけど、雑貨屋の息子のオトフリートだよ」>>0:165
と自己紹介されると、
思いがけない再会にユリアンは目を丸くする。]
え……と、確か……村を出て行った?
[顔にはさっぱり見覚えがないけれども、
雑貨屋を営む家に、兄より少し年上の子どもがいたという話は聞いたことがある。
なさぬ仲の両親>>0:21に反発し、村を出ていってしまったと。]
ご無沙汰しています、が……。
戻ってこられたんですか?
[狭い村のこととて、家庭内の事情も大概筒抜けだ。
兄の口調は世代の近いオトフリートに同情的だった。]