[>>18水の中、手を伸ばした黒い霧から、空間を切り裂く刃が生まれる。
引き込まれる動きに、思わず余分な息が漏れ。
水とは違う、虚無に触れる感覚に、裸の右手が粟立った]
(もう、そんなことはしなくていい)
[手を固く握り、もう一度開く]
(私は、お前を助けに来たんだ――!)
[願いが通じたのか、それとも他の要因か。
黒い霧は一時的に止まり、呪の本体が姿を現す。
左腕の形をしたそれを拾いあげ、片腕でしっかり抱きかかえると、残る腕と両脚で浮上を開始した。
――異変が生じたのは、それから数秒後のこと]