(あ、れ……?)
[水面がやけに遠く感じる。
それに、少しずつ狭くなる視界。
そもそも、勢いで飛び込みはしたが、炎の赤色は本来泳ぎを得意としていなかった]
(駄目だ! 弱気になってちゃ!
折角あいつが、呪いを止めようとしてくれてるのに……!)
[がむしゃらに泳ぐ姿は、湖の畔からは半分溺れているようにも見えるかもしれない。
それでも明滅する意識を繋ぎ止めながら、少しずつでも岸を目指す。
そして、ようやく片手が縁を掴んで]
どうだ、見付けた、ぞ……。
[もう片方の手が、魔族の左腕を水上へ掲げる。
そして、それを岸に横たえた所で力尽きた。
体を引き上げられずにずるずると後退していき、大部分が水に浸かった状態で動かなくなる*]