[しているらしい、と。
そう、言うのと、背後の湖面が湧き立つのは、どちらが先か。
振り返りつつ、ポケットからつかみ出すのは、予めルーンを記しておいたカード]
我に近しく、最も遠き月闇の静寂、輝きを打ち砕く矢となり、駆けよ! 闇月穿!
[呪を紡ぎ、投げるそれに描かれているのは闇を示すルーン。
砕け散ったカードから飛び立ったのは、複数の闇の矢。
それは、飛び出してきた、鋭い牙を持つ巨大な魚に連続で突き刺さる。
僅かな、時間の硬直。
それを破ったのは、右腕から飛び立った漆黒の龍。
それと同時に黒の光が弾けて魚は消し飛び、後には金色の欠片が残された。
湖面へと落ちるそれは、素早く漆黒が回収して]