―→浴室前廊下―
[廊下に崩れるような珠樹>>16に、じんわりと、頭が物事を結びつけていく。
ああ、悲鳴を上げたのは、彼女で、そして?
彼女が怪我をしている様子は、ざっと見る限りでは、ない。
かといって、虫か、怪しげな影でも見たか、というほどにも楽観的な考えが浮かばなかったのは、この場の空気のせいだろうか。
……薄く、鼻につくにおい。鉄錆のような――]
……なんのにおい?
[訝しげに、珠樹と、先に到着していた聡>>26に向かってつぶやきつつ、眉を顰める。
なんだか、相変わらず、夢でも見ているように感覚が遠い気がした。**]