―回想―[月の漂う湖面を眺めながら交わされた会話を思う。あったらいいとニキータが零したものにそうだなぁ、と相槌を打った夜。竿を引く感触に話は途切れてしまったが釣り上げた魚を手にしたイヴァンはニキータを振り返る]真夜中に焼きたてのパン、かぁ。パン屋のでなくていいなら、今度――…[楽しい何かを見つけた時のような顔で男は笑い]俺が作って持ってこようか。月を見ながら一緒に食べるのも楽しそうだ。[他愛ない話の続きにそんな事を口にした]