― 白花亭 ―
[バスケットを店主に手渡す。
サリィとは行き違いだったか、とそんな声が聞こえて]
――…ん、会いはしたんだけど、さ。
[言い澱むような間があいた。
考えて、それから、左の袖を捲る。
待宵草のさく細身の左肩を示してから]
周期──『『死神』の降る刻』って言えば分かるかな。
サリィが、さ、………。
[親に子の訃報を伝えるのは忍びなく口ごもる。
肝心な言葉が出てこない。
唇を噛んで、俯いた。
尋常でない様子に何か察したか店主が項垂れる。
深い深い、吐息が漏れる音が聞こえた。**]