─ 森の中 ─
[すりすりされたり、笑うような表情されたり、何より、近しい属の気配が気を緩める。
すみれ色のふわもこがいたら、呆れたようにきゅう、と鳴いただろう……というのは、恐らく、ぱたた、と飛んでいる小鳥だけが思う事]
そっかあ……同族じゃない同属に会うのって、多分、初めてだなあ、俺。
[ぽつりと呟く頃には、瞳の色は鮮やかな紫紺のそれへと変わる。
その色が、彼の父の若かりし頃のそれと同じ、と知る者はほとんどいないのだが。
ともあれ、尻尾を振る様子に和んでいたから、頬を舐められても抵抗らしきものはほとんどなく。
一しきりじゃれてから、投げかけられた問いに、あー、と短く声を上げた]