─ テレーズ宅前 ─
[落とした荷物を拾わなくては。
そう思っても、今見たものの衝撃は消えない。
視線を巡らせると、ミレイユが崩れ落ちた姿をとらえる。
考えるより先に、足が動いた。]
ミレイユちゃん…!
[近付いて、ミケルもまた、彼女のそばに膝をつく。
だけれど、そこで、どうしようと動きは止まって。
辺りを見回して、誰かに助けを求めようとするけれど、今はまだいなくて。
おずおずと、手を、彼女の頭に伸ばした。
消えていない。居る。
ちょっとためらいがちに、何度か、頭にそっと触れる。
ぎこちのない動きで。]