……お茶をお持ちしましょうか。
あと、何か食べるものを。
あんな事の後で食欲はないかも知れませんけれど……何か、食べておきませんと。
[手伝う、といわれたなら、お疲れでしょうから、とやんわり遮って。
ひとり、部屋を出る。
廊下には、死者の姿も生者の姿もない。
静まり返った館内を、女はゆっくりと歩く]
さて……どこにいるかしら。
いつも通りなら、広間だろうけれど。
[小さく呟く。
ひとりで出てきたのは、少年に会うつもりだったから。
時間を置いたのは、自身の気を静め、冷静さを保つため。
少年が発した言葉。
その意を問わねばならない、という思いからの事だった]