─ 森の中 ─[そこが見知らぬ場所だと気付いたのはしばらくしてからのこと]……あれぇ?[きょろきょろと辺りを見回すが、木漏れ日などない鬱蒼とした森が続くだけ。仔犬は急に不安を覚え、尻尾を下げた]どうしよぉ…。[匂いを嗅いでみるも、嗅ぎ慣れたそれではなく。それでも帰り道を探そうと、恐る恐る森の中を進んで行く]おとぉさぁん、おかぁさぁん。みんなぁ。[きゅーん、と鳴いても返る声はない。心細いまま、仔犬はしばらくの間、森を彷徨い歩いた**]