─ 早朝・客室→廊下 ─
[冬の日の出は遅く、鎧戸を開け>>3:112たままの窓の外はなかなか明るくならない。
うっすらと明るくなってきたかどうかという時刻で我慢の限界になり、ユリアンは部屋を出た。
寒気と空腹が切実だった。]
……静かにね、ビルケ?
[老犬に小声でそう話しかけつつ薄暗い廊下を見渡すと、不自然に半開き>>18の扉がある。]
誰がそこに寝泊まりしていたのか、ユリアンは知らない。
しかし、なぜか目が離せなかった。
足を踏み出そうとすると、ビルケが前に出て座り込み、ユリアンの顔を見上げていた。
そちらへ行くなと訴えるかのように。]