―西エリア―
動きも柔らかい。
[肉までは刃届かず、軽い手応えで鎌が振りぬける。
捩られた相手の身体の戻りが予測よりずっと早い。後方へ下がるのは間に合わない]
…つっ。
[意識を集中させる。左手の鎌が崩れて砂のようになり、右腕へと巻き付いた。岩のようになって強度を増す。
その腕で槌の一撃を受ける。重たい。浮かぶように吹き飛ばされる。
離れる寸前、鎌を離した左手をロミの顔へと向ける。酔いそうなほど甘い香りが流れる。手元が少しは狂うだろうか]
もう少し離れた場所から使えれば。
[空中で身を丸めて体勢を整えながら、岩から戻り零れる砂を左手に受け止める。
肩から右腕全体に響く痛みに顔をしかめた]