[それから少し後のことになるだろうか。
アーベルの準備が出来れば、まずは無人の部屋へと掃除しに入る。
パタリと背で扉を閉めて、じいと真っ直ぐに彼を見る。
もし相手が人狼なら。
そんなことは、きっとアーベルだって思っている筈だ。
――ミリィとロミと、二人分の刺繍画を広げて見せる]
…ここ、コレ、み、見て。
わ、わワタしは、コウヤって…、ひとの、裡に居るもの、
を、え、描くこと、が、でできルの。
そ、そのタメに、そのヒトの、か、髪がイル、の。
だ、ダカラ、掃除の手伝い、し、シタイの。
[言わずに黙って探すことも出来たかもしれないが、
騙すような事はしたくなくて、素直に話す]