[『神魔』ユーリエル、という存在が『伝承』と言う名の記録に残った契機は、ずっと、ずっと昔の出来事。
天の女神と、地の魔王。
強大なる二者の子として生まれたその時は、女神の御許たる天の園にその身はあり。
けれど、地の魔王に呼ばれ、その力に引き寄せられて天より落ちて。
女神に与えられていた力、それが完全なる堕天を阻んで。
落ちた先は──人間たちの住まう、この世界]
[自分が生れに至った経緯──女神と魔王の知られざるものがたりも。
それぞれの想いも知らぬまま。
天へ戻る術も、地へ降りる術も知らぬ神魔は、何処にも行けずに人の世を彷徨って。
世界を見守る白き蝶との出会いを契機に、少しだけ、落ち着く事もできた──けれど]