餓鬼、ね。――そうかもしれない。
…ずっと欲しくて、欲しがって。立ち止ってるだけの。
[は、と。 荒いだ息を一つ零して。頬へ走る朱を右の拳で擦る。
既に所々赤黒く染まった白が、再び紅で滲んだ。
今居る場所が、たとえ仮初めでも。…それでも。]
――…漸く、手に入れた。
[放して、たまるか。
地へと降り立った蒼を見下ろしながら。ぎり、と握り締める。
紐が食い込むのも、気に留めずに。]
[リィ、 ン、 ]
[一つ。
緩やかに、白金の煌きを零しながら、鮮やかな朱の紐が弧を描いた。
静寂を切り裂いて、――鳴り響く。]