[受け止める手に掛かる力が酷く重く感じられたのは、 タチアナが気絶していた所為であり、自身の腕が細い所為。 目を逸らさずに胸元を確かめれば、きちんと上下して見えて、 眠っているだけだとは察したから、安堵の息を吐く。] ………僕は彼女を、部屋で休ませてくる。[それでもベルナルトの顔色は優れない。 それでも、己一人でも、彼女を抱き上げて階上へと向かう。 記憶を頼りにタチアナの部屋までなんとか辿り着いて、 ベッドにその身を横たえた。]